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      Q&A・質問集では、私達が病院の外来や社会で皆様といつも交わしている会話から、代表的なものを取り上げました。体験談・脳との対話は予防法と脳ドック―脳卒中の危険因子を減らすにはで取り上げた事柄が平板にならずに印象付けられるように配慮して構成しました。その他有用な情報を付記していますので、活用してください。
     
         
      目次 > Q&A・その他の情報 >  
       
      ここでは医師がよく受ける代表的な質問とそれに対する一般的な解答の例をあげています。解答の例は必ずしも全てのケース、又は患者さんに当てはまるものではありません。

    (Q)
    うちは祖父、祖母も脳卒中で亡くなりました。それから脳卒中で倒れたり亡くなったりした叔父、叔母も数人います。父も血圧が高いので心配です。脳卒中は遺伝するのでしょうか?
    (A)

      脳卒中は多数の因子の働きが重なり合って発症するものです。同一家系内に脳卒中が多発する主な原因は、高血圧や高脂血症などの素因が遺伝しやすいこと、同じ家族のメンバーは同じような生活習慣を持つ傾向が強いことなどによると考えられます。制御出来る因子の関与が大きい訳ですから、正しい知識をもって血圧のコントロールを行い、生活習慣から危険因子を取り除いて予防に務めましょう。同じ兄弟でも、食餌療法を厳密に行い、トレーニングに怠り無い兄は80代になっても登山を楽しんでいるのに、そのようなことに無頓着な弟は60代から脳卒中を繰り返している例がある様に、中高年になると随分と差が出てくることはご存知でしょう。


    (Q)
    うちの主人は1年半前に脳卒中で倒れ、半身不随意と言語障害に悩まされています。これだけ医療が進んだのなら、治せるのではないでしょうか?
    (A)

      脳卒中は脳の血管が詰まったり(梗塞) 、あるいは破れたり(出血)して脳の機能が障害されるために生じる病気です。脳は極めてデリケートな器官であるため、血管の病変によって障害を受けた場合、迅速に処置しないとダメージが広がります。そして、脳卒中の有効な治療が出来る時間は極めて限られています。「脳卒中の治療は時間との戦い - 倒れたその日の数時間以内が勝負」と言われる所以です。但し、再発予防の治療はいろいろ有り、血管の病変によって異なりますから、脳卒中専門の病院できちんとした検査を受けて必要な治療を受けるのが良いでしょう。

    (Q)
    うちのおじいちゃんが脳卒中で倒れ、1時間半で病院に運んだそうです。色々な検査を受け、脳の深い所にある細い血管が詰まって起こった脳梗塞と言われたそうです。しかし受けた治療といえば点滴注射くらいのもので、麻痺は結局回復しなかったそうです。近頃は倒れてすぐなら、詰まった血管を通す治療法が良く効くと聞きましたが、どうしてそのような治療がなされなかったのでしょうか?
    (A)

      お話からはラクナ梗塞が考えられます。主治医から説明があったことと思いますが、これは脳の細い血管(穿通枝)が変性や壊死を起こして詰まったもので、詰まった血管を通す治療法は使えません。この治療法は脳の主要な血管が心臓や大血管から飛んできた血の塊によっていきなり詰まった脳塞栓のためのものです。

    (Q)

    会社の上司が脳出血で倒れ半身不随意と言語障害がでました。脳の深い所に出血したようですが、急いで血の塊を取り除く手術を受ければ直ったのではないでしょうか?

    (A)

      出血によって破壊された脳は元に戻すことは出来ません。治療の基本は開頭手術をしない内科的な治療ですが、脳出血の程度が強く、血腫(血の塊)によって生命中枢である脳幹が圧迫される場合には、救命を目的として定位的外科手術や脳内視鏡による血腫除去術が必要となります。既に昏睡で瞳孔が散大し、自発呼吸が停止し、脳幹障害が完成している場合は手術の適応はありません。また、脳幹そのものに出血した場合も手術の意味は極めて低くなります。

    (Q)
    私の友人の奥さんがくも膜下出血で倒れ、地域の医療センターで開頭手術を受け、手術には成功して喜んでいましたが、1週間目頃から右半身不随意と失語症が出ました。いろいろと手当てを受けていたようですが、退院してきたときには重い障害を残していました。なにかの医療ミスが起こったのではないのでしょうか?
    (A)

      時期から考えますと、強い脳血管攣縮が生じたものと思われます。動脈瘤が破れてくも膜下腔に出た血液は分解されて血管を縮ませる物質を出し、それがひどい場合は脳梗塞を引起します。それで、動脈瘤が再び破れないようにするために動脈瘤にクリップをかける開頭手術を行う際に、くも膜下腔に出た血液を洗い流してやる脳槽洗浄術を行います。それでも現状では20%位には脳血管攣縮による症状がでるのは避けられないようです。

    (Q)
    私の友人は成人病の危険因子を色々と抱えているため、脳ドックを受けたところ、2個の未破裂脳動脈瘤を指摘されました。結構な大きさであり、くも膜下出血が心配なので、治療を受けることにしたとのことです。自分は頭を切られるのはいやだから、血管内治療を希望したのに、表面に近いところに出来た動脈瘤は開頭手術を勧められたそうです。どうしてでしょうか?
    (A)

      基本的な治療方針は動脈瘤の出来ている場所、形、近くから出ている枝などの詳しい画像診断を基に決めます。一般的に言って開頭手術でアプローチの難しい、頭の中の深いところに出来ている動脈瘤は血管内治療を優先します。表面に近いところに出来ている動脈瘤で、血管内治療を行ってコイルを詰めると近くから出ている枝が犠牲になる恐れのあるときは開頭手術のほうが勧められます。



       
         
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    <<  この会話はKG氏が脳血管撮影を受け、医師の説明を聞いた晩に見た夢の中で自分の脳(kg氏)との間に交わした、本当の会話の記録です。 >>
    kg
    脳血管造影を受けてどうでした? 脳の血管の写真をとるために、テーブルの上に寝かせられて、太股の動脈から細いチューブを入れられて検査をうけたのでしたね。痛かったですか?
    KG
    痛みはたいしたことはなかったよ。だけど前の晩に看護婦さんに下の毛を剃られて、少年に還った息子を見て、情けなかったな。スースーして心もとないし。
    kg
    脳ドックで何か異常を指摘され、詳しく調べるために血管造影が必要ということになったのでしたね。そもそも一体、どうして脳ドックなんか受ける気になったのです?あなたのような仕事のことしか考えない人が?
    KG
    べつに心配してた訳ではないよ。病気ひとつしたことがなくて、もともと身体には自信があったし。
    kg
    よろしければそのあたりのことは、わたしの判断にまかせていただけるとして。
    KG
    いいよ、好きなように解釈してくれて………うちあけたところ親父も働き盛りに「くも膜下出血」で亡くなったし。じいさんは確か脳出血で倒れて長いこと寝たきりだったし、どうもうちは脳卒中の家系だな。自分はちっとも心配していなかったが、女房も副社長もうるさく言うし。それに会社から補助を出すことにしているのでちょっと受けてみようかなと。
    kg
    かなりよくある言い分です。
    KG
    たしかに。だけど私が思うには、あきらかにそれは時間と金の無駄づかいだね。私としては、ちょっと時代の風潮に従ったまでだ。
    kg
    そうですか。それではあなたの見方によると脳卒中は血筋であって、気にしても仕方の無いものなのですね。それはそうと、長年、ずいぶん無茶をやっていましたね。タバコは1日40本、そして成人式を迎える前から、毎日しっかり飲まないと1日が終わらないという感じでしたね。それから日本食では元気がでないといって、いつも油濃いものをとっておられましたし。あ、そうそう、何年かまえに会社の健康診断で高血圧を指摘されたことがありましたね?しかし、いろいろ言われるのがいやで最近は健康診断を受けるのを止めてしまった。そうでしたね、トップにはそういう勝手が許されるのですか?
    KG
    まあ、もちろん、そういう点では反省していたし、気にもなっていたが。
    kg
    しかし、付き合いで酒も飲まねばならないし、四六時中仕事のことが頭を離れなかった、それで寛ぐためにタバコもやめられなかった―こういう訳ですね。
    KG
    そうだな、まったくそうとも言えなくて………血圧はむしろ高いときのほうが気分はよかったからね、たしかに。それで近くの開業医がくれた薬も飲むのをやめてしまったな。
    kg
    それなら結局、あなたの理想像は仕事に殉じるビジネス戦士ということですか。
    KG
    私がどんな理想像を描いていたか、何を追い求めていたかとは関係ないことだ。そんな言い方をするのはやめてくれ!しかし……。
    kg
    分かりましたよ。この段階では私達の話し合いは結論には程遠いことは分かっています。いまあなたが仰ったのは、気にはなっていたが、忙しくて自分の健康に構って居れなかったということですね。
    KG
    ああ、まあ………。そんなとこかな。
    kg
    あなたの気持ちも良く分かります。いつのまにか取り付いて、なかなか抜けられないから生活習慣病というのです。でもわたしが疑問に思うのは、数年前に脳ドックで異常を指摘されながらどうして放っておいたのかということですが。
    KG
    あの頃は会社の状態がとことん悪くなって、脳卒中でも何でもおこってくれ、むしろそうなったほうが良いと望んでさえいたからね。まあ、いまでも余り景気は良くないのだが、友人がこの病院で一度詳しく診て貰えと奨めたし、女房もうるさく言うものだから。
    kg
    今日、血管造影を受けた後、医師の説明を聞いてどう思いましたか?
    KG
    そう、脳というものは精妙に出来ているものだな。どうやって危機を回避しているかも良くわかったよ。大事にしなければならないものだとつくづく思った。本当に危ないところだった。女房や友達の祈りの力というかな、そんなものも感じたし……...それで今日、医師の説明を聞いて決心したよ。明日からタバコは止める!酒も控える!食餌療法もやって、血圧のコントロールにも注意を払うぞ!
    kg
    良く出来ました。ひじょうに「それらしい」お答えですね。私は信用してませんよ。たばこが如何に強い習慣性を持っているのか分かっているでしょう。喫煙の習慣を、一旦引っ掛ったら容易に外れない釣り針に例えるひとがいますが、コカインよりも習慣性が強いことが証明されているのですよ。意志の問題ではないところがあるのです。それから、食餌療法も一筋縄ではいかないところがあります。お酒の席に出たところを想像してください。皆がたばこを喫いますし、美味しいものの殆んどは身体に良くない物ではないでしょうか。
    KG
    私には良い友達と妻がいるのだ。彼らが支えてくれると信じている。喫いたくなったら、念仏を唱えようと思う。ちょうど般若心経を暗唱できるようになったところだから、そして……。
    kg
    おやめください。それをなさるのはとても良いことだと思いますが、大変申し訳ありませんが、ここでお話いただく必要はございません。記憶違いでなかったらあなたは脳の太い動脈が2本も詰まっていた。それなのに、なんらの症状も出なかった。それがいかに運の良いことか、そのためにわたしがどれだけ頑張ってきたか、分かっていますか?
    KG
    まあ、大きな脳の動脈が2本も詰まっているが、脳動脈のほうもバイパスが精一杯働いており、脳のほうも少ない血液の流れでなんとかやり繰りしているとか……。医者の説明といったものは何だか分からなくて……医師に質問するのも悪いと思ったし……。
    kg
    逃げ腰はおやめください。わたしがお聞きしたいのは、はっきりいってあなたの無茶に私が長年どれだけ耐えて来たか、分かっていらっしゃるのかということです。
    KG
    ……。
    kg
    私の言っていることがわかりますか?
    KG
    タバコの害が科学的に証明されたのなら、国が販売を認める訳はないし……。それに、ついこの間まで国が専売していたではないか。あれはいったいどういうわけだ?
    kg
    私の言っていることがわかりますか?
    KG
    分かってるよ!もう。それでは聞くけど、いったい、あなたは私の問題を一緒に考えてくれるのか。
    kg
    そうして欲しいのですか?それではもう少し私の言うことを聞いてください。長年の喫煙の習慣によって動脈硬化が促進されて詰まりやすくなったでしょうし、あなたがタバコを喫うたびに血中の一酸化炭素の濃度はあがるし、私のところに、血液を運んでくれる動脈は収縮するし、血液はさらさら流れにくくなるわで、良いことはなにひとつありません。私がどれだけ身の縮む思いをしてきたかに思いが至りますか。現に数年前の脳ドックで年の割に脳が萎縮していると言われたでしょう。
    KG
    お言葉を返すようだが、あなたのいうことは嫌煙権論者の言い分みたいだな。欧米では喫煙は脳卒中の危険因子であることが疫学調査の結果わかっているようだが、喫煙の習慣の濃いわが国では脳梗塞との間に有意な関連を認めた報告はほとんど無いというではないかね。
    kg
    おや、理論武装なさってますね。確かに九州大学が行っている久山町での追跡調査でも喫煙量の増加とともに脳梗塞の発症率は逆に低下しています。しかし、ラクナ梗塞の危険因子であることは明らかとなったいます。日本人の脳梗塞のなかではラクナ梗塞の占める割合が最も高いので、禁煙の意義は大きいと考えるべきではありませんか。それに言っておきますが、ヘビースモーカーで脳梗塞が減少するのは、いいですか、脳梗塞になる前に悪性腫瘍で死亡して統計から脱落しているからと考えられているのですよ。脅かすつもりはないんですが……。
    KG
    十分、脅かされたよ。喫煙の害のことはよく分かったから、もう勘弁してくれ。ついでに聞くけど、他の危険因子ことはどうなんだ?
    kg
    それでは、このウェブサイトの6] 脳卒中の予防の項を良く読んでください。ここに挙げられている危険因子の全てが長年、私にかかってきていたのですよ。私の頑張りにも限度があります。考えてみてください、そのうちの殆んどはあなたの意思で除くことの出来るものなのです。
    KG
    高血圧、高脂血症、喫煙、糖尿病、ストレスか…………。
    kg
    これらは全て深く絡み合っている事柄なのです。総体的に取り組まねばなりません。後のほうから取り上げてみましょう―ストレス発散のために、毎日運動をする、新陳代謝が昂進する、禁煙がし易くなる、糖代謝・脂質代謝が良くなる、血圧が下がる…。どうです?
    KG
    ブラボー………。
    kg
    ただし言っておきますが、このような努力は数ヶ月続けなければ効果は現れません。
    KG
    最後に一つだけ教えてくれ。そもそも、どうやって私があのような疑問を持っていることを知ったのかね?
    kg
    そんなことわかりきっていますよ。根源的な不安を持たなければ、あなたがこんな夢をみるはずがありません。
    KG
    なるほど。そうか、どうもありがとう。ほかに何か?
    kg
    いいえ……。ああ、あります。どうかタバコの火を消してください。40年に渡って私にタバコの煙が染み込んでしまったので、あなたがいつのまにかタバコに火をつけたことに気が付きませんでした。
     
      
      
       
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